
今度は民族行事に目を向けてみましょう。興味深いものに、囃子田(はやしだ)があります。広島や島根などで「大田植え」と呼ばれるものです。太鼓・ささら・笛などを用いて、田の神を迎えて囃すものです。その関連歌謡(中世末期ごろから成立し出した田植草子系歌謡)では、
稲のなびきは御蔵へさらり靡(なび)いた
などの文言があります。稲穂の揺れや靡き、撓(たわ)みが喚起されています。まさに詩にして呪であるといえましょう。なお、この囃子田集団は、同時に象徴的な雨乞いの集団でもありました。雨は稲の成長に欠かせぬ要素だからです。

以上、大まかに警蹕、翁の呪詞、囃子などを眺め渡してみました。場や状況などに大きな差はあります。しかし、そこには、基本線として貫かれているものがあります。言霊や音霊に関わる何かです。
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